■はじめに
―執筆 特定社会保険労務士 山本多聞

健康保険の被保険者になっていても、旅行先で急に病気になってしまった場合や、会社で健康保険の手続きを行う前に子供が病気になってしまった場合など、病院の窓口で健康保険証を提示できない場合には、いったん自分で費用を全額(10割)建て替えなければなりません。
こうした場合でも、領収証をしっかり保管して後日手続きを取れば、医療費の自己負担3割分との差額7割分が、療養費として健康保険から戻ってきます。
また、被保険者本人だけでなく、被扶養者である家族も、会社で手続きをすれば同様に、立て替えた医療費が戻ってきます。
手続きの際は、領収証の原本のほか、診療報酬明細書(レセプト)が必要となりますので、確実に保管および提出するよう、注意を促してください。

■療養費の支給申請・手続きを行う必要のあるケースは?
―すべて、医療費の立て替え払いを行った場合です。

  • 健康保険証の提示ができず、費用を立て替えた場合
  • コルセットなどの装具の支給を受けた場合
  • 資格喪失後に以前の保険者の保険証を使ってしまい、費用を精算した場合

■立て替えて支払った医療費を戻してもらう場合の手続き・期限はいつまで?

・健康保険 被保険者(家族)療養費支給申請書
費用を支払った日の翌日から2年以内に健康保険協会へ
※保険給付にかかる請求のため、2年の時効となります。

電子申請の手続きには対応せず、書面での手続きとなります。

社会保険(健康保険)の療養費支給申請手続き
よくある問題と解決策

Case1

医療機関の領収証を紛失してしまい、医療機関からは再交付できないといわれた。

決策

この場合、医療機関のポリシーに従わざるを得ないと考えます。医療機関の領収証がなければ、療養費支給申請の手続きを行うことができません。

Case2

入社後に以前に加入していた国民健康保険の保険証を使ってしまい、市役所から費用の請求が来ているが、手続きの流れを教えてほしい。

決策

まず、市役所からの請求額(納付書)を支払います。その領収証を添付して健康保険の療養費支給申請手続きを行うと、7割が戻ってきて、精算完了となります。

Case3

虫歯の治療が一部療養費扱いになるということで、申請を行ったところ、別途書面の作成が必要だといわれた。

解決策

歯科では、主に用いる材料や治療法により、保険の適用が認められているものと、認められていないものがあります。保険点数が決まっていない(オリジナルの)治療を行った場合には、歯科の明細書(歯科点数表によらない補綴等明細書)が必要になる場合があります

 お問い合わせはこちらから