■はじめに
―執筆 特定社会保険労務士 山本多聞

不幸にして従業員の方が亡くなった場合、会社としては退職として手続きを取らなければなりません。
すなわち、社会保険・雇用保険の資格を喪失させる手続きを行うことになります。
申請を行うことで受けられるものとしては、葬儀を行った家族等に葬儀費用として支給される埋葬料があります。
葬儀を行う家族がなく会社で葬儀を行う場合には、実際に葬儀を行った会社に対して埋葬費が支給されます。

■社会保険の資格喪失手続き・期限はいつまで?

・健康保険・厚生年金保険資格喪失届
従業員の死亡した日の翌日から5日以内に年金事務所へ

厚生労働省e-govによる電子申請および市販の人事労務ソフトへのAPI連携に対応しています。電子申請による省力化の効果が高い手続きです。ただし、健康保険組合の手続きがある場合は書面での手続きとなります。

被扶養者についても従業員本人の資格喪失手続きをもって被扶養者の資格喪失が行われます。

■雇用保険の資格喪失手続き・期限はいつまで?

・雇用保険 被保険者資格喪失届
従業員の死亡した日の翌日から10日以内にハローワークへ

厚生労働省e-govによる電子申請および市販の人事労務ソフトへのAPI連携に対応しています。電子申請による省力化の効果が高い手続きです。

■埋葬料(埋葬費)の支給申請手続き・期限はいつまで?

・健康保険被保険者埋葬料(費)申請書
従業員の死亡した日(埋葬費については埋葬を行った日)の翌日から2年以内に健康保険協会へ

電子申請の手続きには対応せず、書面での手続きとなります。

埋葬料の支給は原則として従業員本人の退職日までとなりますが、以下のいずれかに該当する場合、退職後も埋葬料(埋葬費)の支給を受けることができます。

  • 社会保険の資格喪失後3ヶ月以内に亡くなったとき
  • 資格喪失後の傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に亡くなったとき
  • 継続給付を受けなくなってから3ヶ月以内に亡くなったとき

執筆者(特定社会保険労務士 山本多聞)からのアドバイス
―遺族に対し年金が支給される場合があります。

社会保険(厚生年金)の被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中のケガや病気がもとで初診の日から5年以内に死亡したときに、生計を維持されていた妻または、その他の遺族(子、孫、夫、父母、祖父母)が一定の年齢にある場合、遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給されます(保険料納付済期間の要件はあります)。
会社で行う手続きではありませんが、問い合わせが入ることがありますので、最寄りの年金事務所で年金相談を受けるようにアドバイスしましょう。

従業員が死亡した時に必要な社会保険・雇用保険の手続き
よくある問題と解決策

Case1

埋葬料の申請を行う場合に必要な書類はあるのか。

決策

遺族が葬儀を行い埋葬料の申請を行う場合は、会社の証明のみで行うことができます。遺族以外が葬儀を行った場合の埋葬費の申請については葬儀の領収書や明細書が必要になります。

Case2

一人暮らしで亡くなったため、死亡日が不明となっている。

決策

死亡診断書(死体検案書)に記載されている推定の死亡年月日をもって死亡日とします。

Case3

遺族葬と別に社葬を行ったが、それぞれ埋葬料と埋葬費を受けられるのか。

解決策

遺族が行った葬儀に対する埋葬料の支給が優先され、他の葬儀に対する埋葬費の支給はありません。

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