■はじめに
―執筆 特定社会保険労務士 山本多聞(プロフィール)

従業員、または被扶養者が健康保険被保険者証(健康保険証)や年金手帳、雇用保険被保険者証(雇用保険証)を紛失、破損(破れたり、割れたりしたもの)、棄損(汚れて文字が読み取れなくないもの)した際には、再交付の手続きを行うことで、新しい保険証の交付を受けることができます。
健康保険証は病院にかかるときに、年金手帳は年金の受給手続きに、雇用保険証は失業保険や教育訓練給付の受給手続きに、それぞれ必要になるものです。
従業員から依頼があったら、すぐに新しいものを発行する手続きを取ってあげてください。
また、外出時の紛失や盗難の場合は、(悪用はそうそうないかと思いますが)警察署へ遺失物届を出されることをお勧めいたします。
なお、健康保険法の改正により、2021年3月よりマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになるようになります。その際、マイナンバーカードの保持者については健康保険証の交付がなくなる可能性があります。

■健康保険被保険者証を再交付してもらうときの手続き・期限はいつまで?

・健康保険 被保険者証再交付申請書
事由発生後、速やかに健康保険協会へ
※法定期限はありませんが、保険証が必要となることがあるため

電子申請の手続きには対応せず、書面での手続きとなります。

なお、70歳以上75歳未満の被保険者および被扶養者に対して発行される健康保険高齢受給者証についても、再交付の手続きを行うと、同様に新しいものの交付を受けることができます。

健康保険 高齢受給者証再交付申請書
→ 事由発生後、速やかに健康保険協会へ
※法定期限はありませんが、受給者証が必要となることがあるため

電子申請の手続きには対応せず、書面での手続きとなります。

■年金手帳を再交付してもらうときの手続き・期限はいつまで?

・年金手帳再交付申請書
→ 事由発生後、速やかに年金事務所へ
※法定期限はありませんが、年金手帳が必要となることがあるため

厚生労働省e-govによる電子申請および市販の人事労務ソフトへのAPI連携に対応しています。電子申請による省力化の効果が高い手続きです。

マイナンバーと社会保険情報とのひも付けをもって氏名変更届を提出しない場合、手元にある年金手帳についてはとくに更新されません。年金手帳の更新を希望する場合は、再交付申請を行い、新しい氏名とすることが可能です。

■雇用保険被保険者証を再交付してもらうときの手続き・期限はいつまで?

・雇用保険被保険者証 再交付申請書
事由発生後、速やかにハローワークへ
※法定期限はありませんが、保険証が必要となることがあるため

電子申請の手続きには対応せず、書面での手続きとなります。

雇用保険の手続きを電子申請で行った場合には、雇用保険被保険者証もpdfファイルで電子交付されます。pdfファイルがあれば(すぐに印刷できるので)再交付申請は不要となります。

健康保険証・年金手帳・雇用保険証の再交付手続き
よくある問題と解決策

Case1

健康保険証がすぐに必要だと言われたが、手続きに時間がかかってしまう。

決策

直接健康保険協会に出向いて手続きを行い、時間を短縮します。

Case2

健康保険証を紛失した場合、再交付手続きの際に被保険者証滅失届の添付は必要ないのか。

決策

現在では被保険者証滅失届の添付は必要ありません。なお、後から紛失した健康保険証が出てきた場合には古い方を健康保険協会に返却します。

Case3

雇用保険証をpdfデータで持っている場合、会社でプリントしてしまって良いのか。

解決策

問題ありません。なお、元データもプリントしたものも個人情報にあたりますので、保管および取り扱いには十分注意してください。

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